2022年08月26日

Crockett&Jones メインコレクションとハンドグレードの違い コバ・ウェルト編

こんにちは!

シリーズ第3弾、今回もメインコレクションとハンドグレードの違いを見ていきます。

今回は・・・コバとウェルトです!

ちょっとマニアックな部分になってまいりました...
靴をお好きな方ならコバとウェルトもよくご覧になるはず。
それでは今回もこの2足に登場してもらいましょう!




メインコレクション代表、コノートCONNAUGHT (写真右)!


ハンドグレード代表オードリー3 AUDDLEY3(写真左)!






まずはヒールを後ろから。

右のコノートは上から下までまっすぐに落ちているストレートヒールになっています。

対して左のオードリー3は、下に行くほど細くなるテーパードヒール(キューバンヒール)となっています。

テーパードヒールはオーダーメイドシューズにもよく見られる高級感を出す演出の一つです。
一定の角度で均一に削るのは玄人の業です!








お次はコバを横から覗いてみましょう。こちらはいずれも小指側です。

・・・・・・この距離からでは何もわかりません涙




もっと近づいてみましょう。




まずはコノートです。
爪仕上げとなっています。(※平たいコバの上下が線状に突出している仕上がりです)
革靴といえばこの仕上がりでなきゃ!という方も多いはず。

クロケットジョーンズの爪はかなり控えめな印象。中には一部爪が消失しているものもよくあります。








お次はオードリー3です。
基本的にはこちらも爪仕上げになっているのですが、土踏まず付近だけ丸仕上げになっております。
写真左端あたりで切り返しになっているのが分かると思います。
これも、靴をシュッとスマートに見せるための手法で、ハイエンド靴によく見られます。

ちなみに、ソールの厚みも両者で違いがありました。
コノートはウェルト3mm、ソール5mmの計8mm。
オードリー3はウェルト3mm、ソール4mmの計7mm。

オードリー3の方が薄く見えると思っていましたが、実際その通りでした。





最後にウェルトを上から覗いてみます。






右がコノート、左がオードリー3。
つま先では若干ステッチが出ている部分も見られますが、どちらもメスウェルトです(ウェルトの縦の切れ込みにステッチが隠れる仕様)。

また、コノートはウェルトの表面にファジング(横線のコロコロ)がしっかり入っています。
オードリーは入っていないかな...と思ってよく見てみると、薄く入っていました。

意識的にハンドグレードは薄く入れているのか、他のモデルも薄く入っていました。





はい!今回はここまでになります。
そしてこのシリーズも一旦ここまでになります。

両者をよく比較してみてみると、本当に様々な違いが見えてきました。
私自身とても勉強になりました!

ぜひ皆様も靴売り場に行く機会があれば、それぞれの違いをよくご覧になってみてください。
そのメーカーやモデルごとのこだわりが見えてくるかもしれません。

その中でご自身のお気に入りを見つけていただけたら幸いです。

それではまた!


園部

  


Posted by リペア工房RESH.       三越仙台店 at 09:37Comments(0)Crockett&Jones

2022年08月12日

Crockett&Jones メインコレクションとハンドグレードの違い ソール編

こんにちは。


前回に続いて、メインコレクションとハンドグレードの違いを見ていきます。

今回は・・・ソールです!

ソールは、靴の価値と表情を決定づける大事な部分です。
よーく見ていただくと、そのメーカーや靴の特徴がよく見えてくると思います。

それでは今回もこの2足に登場してもらいましょう!



メインコレクション代表、コノートCONNAUGHT (写真右)!


ハンドグレード代表オードリー3 AUDDLEY3(写真左)!





最初はソールを裏側から見てみます。
まずはコノートから



全体ライトブラウンで仕上げられています。



ソールのサイドには、グッドイヤー製法の特徴的なダシ縫いによるステッチが見えます。

そのステッチの内側をよく見てみると。。。特有のウィール(模様)が当てられています。





トップリフトも見てみましょう。
クロケットといえば、ダブテイル。飾り釘は外側に5点、内側に8点、真ん中に1点。
周りはワックスを含ませたコテが当てられています。

ヒールはソールに対してしっかり大きく、どっしりとした表情です。
かっこいい!





それでは次にオードリー3です。



靴がお好きな方はすぐ見てお分かりだと思いますが、こちらは半カラス仕上げ。
前半分はライトブラウンで、土踏まずは黒く仕上げてあります。
ヒールが黒なのも特徴です。メーカーによってここは様々。
切り返しの部分のアーチも様々あります。ジョンロブなどはアーチが逆ですね。




刻印は同じところにありますが、ブランドロゴの字体がちょっと違いますね。

そして、こちらもグッドイヤー製法ですが、縫い目を隠すヒドゥンチャネルという仕様になっています。

ダシ縫いを掛ける前に表層の革を切って起こしてから縫ってまた起こした革を戻すというものですが、
さすがハンドグレード、一度革を起こしたことが分からないくらいきれいに仕上がってます。

そして見た目ではわかりませんが、ハンドグレードのソールにはオークバークソールで有名なJRソールが使用されています。




ヒールも見ていきましょう。

同じくダブテイル、同じパターンの飾り釘。
個体によって、たまに飾り釘の本数が違かったりします。意外と個性的です。
黒の場合はコテはあてられておらず、代わりに内角が落とされています。

ヒールはやや小ぶりでスマートな印象です。
とってもクール!





・・・・・・





今回も色々な違いがみられました!
次回は第3弾、コバ、ウェルト編をお送りいたします!

今回もお付き合いいただきありがとうございました!



園部




  


Posted by リペア工房RESH.       三越仙台店 at 13:03Comments(0)Crockett&Jones

2022年08月05日

Crockett&Jones メインコレクションとハンドグレードの違い アッパー編

こんにちは!

本日は少し趣向を変えてクロケットジョーンズのメインコレクションとハンドグレードの違いを見ていきたいと思います。

比べるのは、代表的なストレートチップの2足。


今回は、アッパーの違いを見ていきたいと思います。




メインコレクションからはコノートCONNAUGHT (写真右)

100年の伝統をもつという236ラストを使用した英国靴らしいフォルムの1足です。




そして、ハンドグレードからは不屈の名品、オードリー3 AUDDLEY3(写真左)

やや細身で甲の低い337ラスト(通称パリラスト)を使用しています。
クロケット&ジョーンズで最も有名かつ人気のモデルの一つです。





それでは違いを見ていきましょう。


一見、どちらもかなり似た作りになっていますが、最初に目につくのはつま先の形状。


 

コノート(右)は丸いラウンドトゥなのに対して、オードリー(左)はやや角ばったセミスクエアトゥになっております。






そして後ろを見ると・・・カウンターの縦のステッチ。
コノート(右)は縫い割のステッチのみなのに対して、オードリー(左)はさらに左右にステッチがかけられています。






そしてこちらはとても細かいところですが、両モデルのレースステイサイドのステッチ下部の形状に違いがありました。

コノート(右)は急カーブなのに対して、オードリー(左)は緩やかなカーブを描いています。
写真ではわかりにくいですが、現物を見るとおっ、となるはず。






最後にインソールとライニングです。

これは一目瞭然ですね。
コノート(下)はヌメ革に金文字なのに対して、オードリー(上)は黒革に型押し文字となっています。
ちなみに英国の伝統的な靴は、汗を吸収しやすいヌメ革を使用したものが多いそうです。






ハンドグレードでは、刻印に金文字が使用されています。



以上、ざっくりでしたが、2モデルの大まかな違いでした。
他にも細かく見ると微妙な違いが色々あるので、ぜひお手に取って比べてみてください!




園部
  


Posted by リペア工房RESH.       三越仙台店 at 10:02Comments(0)Crockett&Jones

2022年08月02日

リペアラスト

こんにちは!





今日はCrockett&jones(クロケット&ジョーンズ)のソールに注目していきましょう








ハンドグレードラインに使用されている底材はオークバーク。

オーク(樫の木)の樹皮から抽出したタンニンで鞣しており

1年もの時間をかけじっくりとなめし生産されます。

とても希少性があります。

革の繊維が詰まり丈夫で摩擦に強いのですが屈曲にも優れております。

こちらの底材はドイツ屈指のタンナー、J.Rendenbach レンデンバッハと言われております。

1871年に創業以来、140年以上の歴史があります。




Crockett&Jones

一つの革底になるのに1年以上。。。

何とも贅沢な。。

RESH.ではもちろんレンデンバッハソールの取り扱いもございます。

オリジナル同様にこだわる方、いかがでしょうか?






こちらが、そのこだわりに不可欠な「リペアラスト」です。

履き心地、フォルム、バランスなど

すべてに違いが表れます。



ぜひ一度RESHにご相談ください。
  


Posted by リペア工房RESH.       三越仙台店 at 19:31Comments(0)オールソールCrockett&Jones